現在のエコ住宅は、まだまだ住む人個人の意識次元にとどまっており、一部にエコアイテムを取り入れた簡易タイプが多く、エネルギー削減についても省エネ (今のところ特にCO2削減)に重点が置かれています。すでにある多様なエコ技術も当然環境には貢献していますが、ハード重視で投資額が大きいこともあ り、なかなか大きなひろがりに至って行かないのが現状です。
一方、エシカルハウスは心が先にあり、「温故知新」を基本に昔からの知恵を見直し、自然の力や 恵みを生かしそれに感謝して生きる生活様式を再評価し取り入れられるものは取り入れ、現代の暮しとも調和しつつ自然環境にも優しい暮し方・エシカルな生き 方を醸成しエシカルライフを支える住宅を目指すものです。特にエネルギーに関しては、既存の大規模供給エネルギーに頼らず、出来るだけ省エ ネ技術への資金も少なくて済むように、昔からある技法(自然の力)を最大限取り入れながら、個々の住宅で自前のエネルギーを生み出す(創エネ)ことによ り、完全な自立循環型の『プラスエネルギー住宅』を目指すことを前提としています。さらに、建設エネルギーも出来るだけ削減し(地産地消を重視等)、地球 環境(自然や動植物)、地域のつながり(隣人や弱者)、人(そこに住まう人自身)に対しても良心と思いやりをもった住宅となるよう配慮していきます。
省エネ技術の向上は、どこにあっても快適な住宅を提供できるようになりました。
しかし人にとっての快適さとは、地域特性を無視した人工的な快適さではな く、地域の気候風土
に合った住まい方こそが本来の快適さを生みだすと考えています。常に一定の気温の中で住むことは
本来の快適さではなく、特に四季の豊か な日本においては、夏は夏らしく多少の汗をかき、冬は
冬らしく程々に寒さを感じながらも、無理なく過ごす事が出来るような住まいが、「本来の生命力を
高め ることのできる健康で快適な」住まいではないかと考えています。そのように生活することが
出来る住宅を造る事が、省エネの原点でエネルギー使用を最小限に する事にも繋がります。
エシカルハウスは精神性に寄る所が大きく、良心と共鳴して実現できるものと考えます。
「良心的な住まい方」を実践して行くには、か つての知恵を現代の技術で補完強化するとともに
新たな技術を作りだすことも必要で、それを支えていく為に、より多くの人々にエシカルハウスを
理解していた だければ幸いです。